古林形成外科-札幌院

医療コラム

足の付け根に押すと痛いしこりの病気と男女の違いによるできやすさ

足の付け根にしこりがあり押すと痛みを感じる場合、どんな疾患が考えられるでしょうか。

特に鼠径部(そけいぶ)に位置するしこりは、痛みなどで日常生活に支障をきたすこともあるため、早期の診断と適切な対応が重要です。

今回の記事では、そんな足の付け根に発生する「しこり」の病気を中心に解説していきます。

押すと痛い!足の付け根のしこりで疑われる病気と原因

  • 粉瘤(アテローム)
  • 脂肪腫
  • 鼠径ヘルニア
  • 鼠径部リンパ節腫脹
  • 動脈瘤・静脈瘤
  • 軟部腫瘍・膿瘍
  • Nuck(ヌック)管水腫

粉瘤(アテローム)

皮膚の下にできる良性の嚢胞で、角質や皮脂が溜まって形成されます。

感染を起こすと赤く腫れ、押すと痛みを感じることがあります。鼠径部は摩擦や蒸れが多く、粉瘤ができやすい部位です。

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脂肪腫

皮下にできる良性の脂肪の塊で、通常は柔らかく、痛みはありません。しかし、神経を圧迫すると痛みを感じることがあります。

当院の脂肪腫治療>>

鼠径ヘルニア

腹部の内容物が鼠径部の筋膜の隙間から突出する状態で、脱腸とも呼ばれます。

立っているときや力を入れたときにしこりが現れ、横になると消えるのが特徴です。放置すると嵌頓(かんとん)を起こし、激しい痛みや腸閉塞を引き起こすことがあります。

鼠径部リンパ節腫脹

感染症や炎症、悪性腫瘍などが原因でリンパ節が腫れることがあります。痛みを伴う場合は感染症が疑われ、無痛の場合は悪性の可能性もあるため注意が必要です。

動脈瘤・静脈瘤

血管の壁が弱くなり、膨らんだ状態です。触れると拍動を感じることがあり、破裂すると生命に関わるため、早急な対応が求められます。

軟部腫瘍・膿瘍

筋肉や脂肪、結合組織などにできる腫瘍で、良性と悪性があります。膿瘍は感染によって膿が溜まった状態で、赤く腫れ、痛みを伴います。

Nuck(ヌック)管水腫

女性の鼠径部にできる嚢胞性病変で、胎児期の腹膜の遺残が原因です。無症状の場合もありますが、感染や炎症を起こすと痛みを感じることがあります。

男女の違いで足の付け根のしこりのできやすさ

男性は鼠径ヘルニアの発症率が高く、特に中高年で多く見られます。

一方、女性はNuck管水腫やバルトリン腺嚢胞など、女性特有の疾患が原因でしこりができることがあります。また、ホルモンバランスの変化や下着の締め付けなども影響することがあります。

足の付け根のしこりの特徴別症状

しこりの特徴によって、これってどうなの?

しこりの特徴

  • かたい・やわらかい
  • 動く・動かない
  • 赤い・黒い・白い膿が出る

かたいしこり

粉瘤は角質や皮脂が内部に詰まっており、腫瘍は組織が増大や増殖してできるため基本的には硬いしこりとなります。

リンパ節腫脹もリンパ球やマクロファージなどの免疫物質がリンパ節内で増殖し膨らむため硬くなり、これらのできものは硬いしこりとして認識されます。

やわらかいしこり

脂肪腫は柔らかい組織である脂肪細胞が増殖した病態なので、一般的には柔らかく感じることが多いですが、筋間にできたり深部にできるとやや硬く感じる場合もあります。

ヘルニアは腹膜が脱出している状態で皮膚を介して内臓を触知しているためやわらかいしこりとして認識されます。

動くしこり

脂肪腫や粉瘤など、皮下にある良性の腫瘍は周囲と明確な隔壁を持つ事が多く、比較的周囲と独立しているため可動性のあるできものです。

ただし粉瘤の場合炎症を伴うと周囲に癒着してしまうため動かないしこりになる可能性があります。

動かないしこり

悪性腫瘍は周囲の組織に浸潤しながら増殖するため、周囲組織と癒着して動かないしこりになります。

先程も述べましたが、炎症性粉瘤の様に炎症が生じたできものは周囲と癒着し、動かないしこりになる可能性があります。

赤いしこり

炎症や感染を伴う粉瘤や膿瘍が考えられます。

炎症を起こすと内部に出血し赤く見えたり、皮膚表面も毛細血管の拡張で赤みが強くなったり、赤みの強いしこりになりやすいです。

黒いしこり

血液の滞留や皮膚の色素沈着が原因の場合があります。血液が赤いのは酸素とヘモグロビンが結合しているためですが、血が溜まると酸素の供給がない状態になるので黒ずんで見えます。

また、できものの部位に摩擦や炎症を繰り返すと、皮膚が色素沈着により濃い茶色っぽい黒ずんだしこりになります。

白い膿が出る

感染を起こした粉瘤や膿瘍の可能性があります。

足の付け根のしこりは何科を受診すればいい?

症状や疑われる疾患によって受診すべき診療科が異なります。

形成外科・皮膚科:粉瘤、脂肪腫、膿瘍など皮膚や皮下の疾患。
外科:鼠径ヘルニアや動脈瘤、静脈瘤など外科的処置が必要な場合。
内科:リンパ節腫脹や感染症が疑われる場合。
婦人科:女性特有の疾患(Nuck管水腫、バルトリン腺嚢胞など)が疑われる場合。
泌尿器科:男性の生殖器に関連する疾患が疑われる場合。

症状がはっきりしない場合は、まずは内科を受診し、必要に応じて専門科への紹介を受けると良いでしょう。

まとめ

足の付け根にしこりがあり、押すと痛みを感じる場合、さまざまな疾患が考えられます。

自己判断せず、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

特に、しこりが急に大きくなったり、痛みが強くなったり、発熱を伴う場合は、速やかに受診してください。

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北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、眼瞼下垂、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、眼瞼下垂、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

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