目のまわりにできる粉瘤(ふんりゅう)とは?部位別の特徴・原因・治療法まで専門医が徹底解説

目元は皮膚が薄く、皮脂腺も多いため粉瘤ができやすい部位ですが、見た目の問題や再発、傷跡への不安から治療を迷う方も少なくありません。
この記事では、目元にできる粉瘤の部位別特徴や原因、ものもらいとの違い、受診すべき診療科、再発を防ぐ治療法や手術後の注意点まで専門的に解説します。
目の粉瘤ができやすい部位と原因

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造(嚢胞)ができ、その中に角質や皮脂が溜まることで形成される良性の腫瘍です。目の周囲では以下に示す部位にできやすいとされています。
- 目の上・まぶた
- 目尻・目頭・目の横
- 涙袋・目の下
- 目の内側・粘膜
目の上・まぶた
まぶたは皮膚が非常に薄く、皮脂腺やマイボーム腺が集中しているため、粉瘤ができやすい部位です。特にマイボーム腺の出口が詰まると、麦粒腫や霰粒腫といったしこりができることがあり、これらがきっかけで粉瘤に移行する可能性があります。
またこの部位はメイクやクレンジングの刺激、まばたきによる摩擦の影響を受けやすく、小さな粉瘤でも違和感や腫れを感じやすいのが特徴です。目立つ部位のため、再発を防ぎつつ、できるだけ傷跡を残さないような丁寧な治療が求められます。
目尻・目頭・目の横
目尻や目頭、目の周囲は皮膚が繊細で、化粧品やクレンジングによる刺激、眼鏡やマスクの接触・摩擦で毛穴が詰まりやすく、粉瘤ができることがあります。特に目頭は皮脂腺も多く、炎症を起こすと赤みや腫れが目立ちやすい部位です。
このエリアにできた粉瘤は「ものもらい」と間違われやすく、見分けがつきにくいため、専門的な診断が必要です。皮膚の動きが多い部位でもあるため、手術の際は傷跡の位置や仕上がりにも十分配慮が求められます。
涙袋・目の下
涙袋や目の下は皮膚が非常に薄く、皮脂腺が密集しているため、皮脂や角質の排出が滞ると粉瘤ができやすい部位です。特にクレンジング不足によるアイメイク残留や、アイクリームなどの油分が毛穴を塞ぐことも要因となります。
この部位の粉瘤は目立ちやすく、炎症や腫れが起きると「クマ」や「ものもらい」と誤解されることもあり、美容的な悩みにも直結しやすいのが特徴です。治療には目元の構造に配慮した繊細なアプローチが求められます。
目の内側・粘膜
まれではありますが、結膜や涙点付近などの目の内側・粘膜部分にも粉瘤が形成されることがあります。これらは「霰粒腫」や「結膜脂肪腫」などと診断されるケースも含まれ、異物感やゴロゴロした不快感、痛みや視界のにじみといった症状を引き起こします。
粘膜部は炎症が拡がりやすく、自然排出が難しいため、腫れや痛みが出る前の早期受診が重要です。診断や処置は眼科と形成外科の連携が必要となることもあります。
目に粉瘤ができたら何科を受診すべき?

目の周囲にできた粉瘤の診察には、症状や部位によって適切な診療科を選ぶことが重要です。
- 眼科: 目の内側や粘膜部分にできた粉瘤や、視界に影響を及ぼす場合は眼科を受診してください。
- 形成外科: 手術による摘出が必要な場合や、傷跡をできるだけ目立たなくしたい場合は、形成外科での治療が推奨されます。
粉瘤は形成外科と皮膚科どっちで受けるべき?後悔しないための選び方>>
目にできた粉瘤の治療方法

目の周囲にできた粉瘤は、自然に治ることは少なく、以下の治療法が一般的です。
切開法

粉瘤の上の皮膚を切開し、袋ごと摘出する方法です。
再発のリスクが低く、確実な治療法とされていますが、傷跡が残る可能性があります。
くり抜き法

専用の器具で小さな穴を開け、内容物と袋を取り出す方法です。
傷跡が小さく、縫合が不要な場合もありますが、目の周囲ではシワに合わせて切開する事で傷がほぼ分からなくなるため、完全に取り除ける切開法の方が適応となる場合が多いです。
目の粉瘤に関するよくある質問

Q1. 目の近くの粉瘤手術後のメイクはいつから可能ですか?
手術後のメイク再開時期は、傷の治癒状況によりますが、通常は1週間から10日程度で可能とされています。医師の指示に従ってください。
Q2. 目尻側にできた粉瘤を切除した場合、目の形が変わることはありますか?
大きな粉瘤であれば二重の形に影響がある場合もあります。当院では美容外科クリニックの医師も手術を担当しているため、目の形や機能に影響を与えないように配慮された手術が可能です。ただし、個人差もあるため、術前に医師と十分に相談してください。
Q3. 目の粉瘤手術後の腫れやコンタクトレンズの使用について教えてください。
手術後は一時的に腫れが生じることがあります。腫れが引くまでの間は、コンタクトレンズの使用を控え、医師の指示に従ってください。
Q4. 目の粘膜にできた粉瘤の場合、眼帯の使用や麻酔の効果はどうですか?
目の粘膜にできた粉瘤の手術では、局所麻酔が使用され、痛みは最小限に抑えられます。術後、眼帯を使用することがありますが、医師の指示に従ってください。
Q5. 目薬で粉瘤は治りますか?
粉瘤は袋状の構造が原因であるため、目薬や軟膏では根本的な治療はできません。手術による摘出が必要です。
Q6. ものもらいと粉瘤の違いは何ですか?
ものもらい(麦粒腫)は、まぶたの腺が細菌感染を起こして炎症を起こす急性の疾患で、痛みや赤みを伴いますが、一過性なものが多く時間と共に治癒します。一方、粉瘤は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、通常は痛みがなく、徐々に大きくなり、手術をしなければ治りません
まとめ
目の周囲にできる粉瘤は、見た目の問題だけでなく、炎症や感染を引き起こす可能性があるため、早期の診断と適切な治療が重要です。症状や部位に応じて、皮膚科、眼科、形成外科を受診し、専門医の指導のもとで適切な治療を受けてください。