首の後ろにできた粉瘤の手術・治療方法を形成外科専門医が解説

首の後ろにできた粉瘤は放置していると炎症を起こして腫れや痛みが出たり、膿がたまることもあります。
特に首の後ろは自分では見えにくく、思ったより進行しているケースが多いです。
今回の記事では、首の後ろの粉瘤の治療方法について解説します。
首の後ろの粉瘤に対する治療法|薬では完治しません

粉瘤の根治には、嚢胞ごと摘出する外科的治療が唯一の方法です。抗生剤や外用薬は炎症を抑える対症療法に過ぎず、袋が残っている限り再発のリスクが高いため、外科的除去が推奨されます。
などを見極め、以下の2つの方法から最適な手術法を選択しています。
- くり抜き法(トレパン法)
- 切開法(切除術)
くり抜き法(トレパン法)

直径5~7mm程度の小さな穴を開け、トレパンという器具で内容物と嚢胞壁を摘出します。傷跡が小さく、術後の回復が早いのが特徴で、炎症のない比較的小さな粉瘤に適しています。
手術の流れ

STEP1
アプローチ部位にペンでマーキングを行い、腫瘍まわりに局所麻酔を施します。

STEP2
トレパンやメスを使用し、粉瘤がある皮膚に小さな穴を開けます。

STEP3
被膜にたまっている老廃物を絞り出します。

STEP4
被膜を摘出します。

STEP5
止血後、切開した傷口を縫合します。
※傷あとをきれいにするため、形成外科的縫合が行われます。
切開法(切除術)

皮膚を切開し、袋状の嚢胞を直接視認しながら確実に摘出する方法。再発リスクが最も低く、大きな粉瘤や炎症・再発を繰り返すケースに適用されます。術後は縫合が必要になることもあります。
手術の流れ

STEP1
アプローチ部位にペンでマーキングを行い、腫瘍まわりに局所麻酔を施します。

STEP2
トレパンやメスを使用し、粉瘤がある皮膚に小さな穴を開けます。

STEP3
被膜にたまっている老廃物を絞り出します。

STEP4
被膜を摘出します。

STEP5
止血後、切開した傷口を縫合します。
※傷あとをきれいにするため、形成外科的縫合が行われます。
首の後ろの粉瘤の日帰り手術の費用について

費用は、粉瘤の大きさやできた場所、炎症の有無、手術方法(切開法・くりぬき法)によって異なりますが、健康保険3割負担の方であれば、おおよそ数千円~1万円台後半が目安となります。
初診時にしっかりと状態を診察した上で、事前に明確な費用をご説明しますので、「いくらかかるかわからない」という不安を感じることはありません。
また、診察や手術にかかる時間もコンパクトで、日帰りで完結するため交通費や時間的コストも抑えられ、全体として負担の少ない医療体験を提供しています。
首の後ろの粉瘤の治療後の注意点

創部のケア
手術直後は、傷口にガーゼを当てた状態でお帰りいただきます。
手術後1〜3日ほどは、血液や体液でガーゼが滲みやすくなるため、毎日新しいものに取り替えてください。その際、シャワーで創部を洗い流しても問題ありません。血液や分泌物が止まったら、ガーゼからテープに変更してください。
入浴
手術翌日からシャワーでの入浴が可能です。ただし、浴槽での入浴は感染リスクがあるため、抜糸するまでは控えてください。
運動
手術当日・翌日、場合によては抜糸するまで控えて頂いた方が安心です。詳細については手術後にご説明いたします。
飲酒
アルコールを摂取すると血行が良くなり、血腫(血のたまり)ができやすくなる恐れがあります。手術当日と翌日のアルコール摂取は控えてください。
まとめ
首の後ろにできた粉瘤は、自分では見えにくく気づきにくい場所にできるため、放置されがちですが、炎症や化膿のリスクがあります。
痛みがなくても早めに専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることで、悪化や再発を防ぐことができます。
形成外科では、見た目や傷跡にも配慮した治療が可能ですので、気になるしこりがある場合は早期の相談をおすすめします。