耳垂裂の主な原因
耳垂裂の主な原因として、ピアスによるトラブルが挙げられます。具体的には以下のようなケースが考えられます。
ピアストラブルが原因の耳垂裂
重いピアスを長時間つけたままにしている
重いピアスを長期間使用すると、徐々にピアス穴が拡大し、耳たぶが裂けやすくなります。
時間をかけてゆっくり進行するため、痛みをほとんど感じず、気付かないうちに進行することが多いです。
多くの場合、ピアスが取れてから初めて耳垂裂に気付くことがあります。
急性の耳垂裂
急性耳垂裂は、ピアスが何かに引っかかっていることに気付かず、強い力を加えた際に発生します。例えば、毛足の長い衣類を脱ぐ際にピアスが絡まり、引っ張ってしまい耳たぶが切れる事例などが挙げられます。
ピアス穴の化膿
ピアス穴が化膿している場合は、ピアスの着用を控えるべきです。化膿した状態でピアスを装着すると、痒みが生じ、かきむしることでピアス穴が広がり、耳垂裂が発生することがあります。
化膿や痒みが見られたら、ピアスの使用を控えて経過を観察しましょう。
金属アレルギー（接触皮膚炎）
金属アレルギーがある場合、ピアスによる皮膚炎が起きやすく、耳垂裂の原因になります。アレルギーを引き起こしやすい金属として、以下が挙げられます。
耳たぶの縁に近い場所にピアス穴がある
耳たぶの縁付近にピアス穴を開けると、少しの力で裂けやすくなり、耳垂裂が発生しやすくなります。
ピアスの埋入
耳たぶの厚さに対して大きすぎるピアスや短いピアスを使用すると、飾り部分やキャッチが埋入し、これが原因で耳垂裂を引き起こすことがあります。
耳垂裂を放置するリスク
耳垂裂を放置すると、損傷部分が皮膚で覆われて傷口がくっつかなくなる恐れがあります。また、細菌感染のリスクも高まり、腫れや痛みを伴うことがあるため、早めの対処が重要です。
さらに、切れた部分にケロイドや瘢痕（はんこん）と呼ばれる傷あとが残る可能性もあります。また、傷口の陥没や隆起、色素沈着を引き起こすこともあります。
耳垂裂は自然治癒しないため、切れた部分を切除して縫い合わせる手術が必要です。放置して皮膚が広がると、切除する部位が大きくなり、治療が困難になる場合があります。
耳垂裂が生じた場合、症状が軽いうちにご相談ください。
耳垂裂治療へのこだわり
当院では、耳垂裂の手術において、自然な耳たぶの形を維持することを重視しています。治療では、「Z形成術」や「W形成術」などを用いて、傷跡が目立ちにくく、綺麗な仕上がりを目指しています。
これらの手法は、瘢痕化した裂傷部の切除によって生じる耳たぶのくぼみやくびれ、ひきつれ（瘢痕拘縮）などの問題を予防する効果があります。また、個々の患者様の状態に応じて皮弁形成術などの処置を追加し、より綺麗に治癒するよう努めています。
形成外科の術式による手術
傷跡を目立たせず、自然な耳たぶの形に戻すための形成外科的手術には、直線法、Z型形成術、W形成術があります。
直線法
直線法とは、裂けたラインに沿って皮膚を切除し、再縫合する方法です。この方法は他の術式の中で最も切除面積が小さいのが特徴です。そのため、左右の耳たぶの大きさに差が出にくくなります。
Z型形成術
Z型形成術は、耳垂裂の治療で最も多く行われる方法です。
耳垂裂による線状の傷や耳たぶにひきつれが起きている場合に、傷の両側に切り込みを入れ、Z形に縫合することで、耳たぶのくぼみやひきつれ、くびれを解消します。
W形成術
W形成術は、線状の傷の両側をW（またはV）字型に切開し、凹凸の形になった傷を縫い合わせる方法です。この術式は耳たぶの歪みが起きにくく、直線法よりも傷跡が目立ちにくいのが特徴です。
当院の耳垂裂手術の特徴
当院では、髪の毛よりも細い糸を使用し、慎重かつ丁寧に縫合を行います。また、患者様の状態に合わせた最適な術式を選択し、傷跡が目立たない仕上がりを目指しています。
手術は、多くの症例数と実績を持つ形成外科専門医が担当します。さらに、手術中の痛みはもちろん、局所麻酔時の痛みにも十分に配慮し、患者様の負担を最小限に抑えるよう努めています。
治療の流れ
カウンセリング
患者様の状態や経緯をお伺いし、耳垂裂の状態に合わせた最適な治療方法（術式）を、形成外科専門医がご提案いたします。また、術後の治癒期間や傷跡が目立たないようにするためのポイントも詳細にご説明いたします。
手術に関して疑問や不安がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
施術・検査
手術前のカウンセリングでは、患者様の耳垂裂の状態をしっかり検査したうえで、納得のいく術式をご提案いたします。
手術は局所麻酔で行い、日帰りで治療が可能です。ピアストラブルによる耳垂裂の手術時間は、片耳で30分から1時間程度です。
STEP1
耳たぶがぱっくりと裂けている状態です。
STEP2
ペンによるマーキングで、切開・縫合ラインをデザインします。
STEP3
傷口やマーキングを確認しながら、デザインに沿って皮膚を丁寧に切開し、縫合します。
※施術後および経過観察
手術当日は、運動や飲酒は避けてください。抜糸の目安は、術後約7日です。シャワーが可能な時期は、患者様の状態にもよりますが、術後翌日から遅くとも5日後になります。
手術により縫合した創部は、時間の経過とともに徐々に目立たなくなります。
STEP3
傷口やマーキングを確認しながら、デザインに沿って皮膚を丁寧に切開し、縫合します。
※施術後および経過観察
手術当日は、運動や飲酒は避けてください。抜糸の目安は、術後約7日です。シャワーが可能な時期は、患者様の状態にもよりますが、術後翌日から遅くとも5日後になります。
手術により縫合した創部は、時間の経過とともに徐々に目立たなくなります。
STEP4
抜糸の目安は手術から約1週間経過したタイミングです。
STEP5
抜糸後、しばらくの間は赤みが生じますが、創部はしっかりとくっついています。
STEP6
赤みは3カ月ほど続きますが、徐々に落ち着き、周囲と同じ色に近づいていきます。
ピアス穴の修正について
当院では、ピアス穴の修正にも対応しています。手術部位に局所麻酔を施した後、ピアス穴周囲の皮膚をできる限り小さく切開し、綺麗に縫合します。
以下のようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
仕事や面接の際にピアス穴を指摘されないか不安
ピアス穴が広がり、ピアスが落ちやすくなった
ピアス穴の位置を変えたい
ピアスが埋まってしまい、取れない
ピアス穴の近くに大きなしこりができて困っている
治療費について
先天性耳垂裂は保険適用です。ピアスによる耳垂裂やピアス穴の修正は、保険適用外の治療となります。
