顔にできた粉瘤の手術・治療方法を形成外科専門医が解説

粉瘤は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、放置すると炎症や腫れを引き起こすことがあります。特に顔は目立つ部位なので、「できるだけ傷を残さずに治したい」と考える方が多いのではないでしょうか。
この記事では、形成外科専門医が、顔にできた粉瘤の特徴や手術・治療方法について、見た目への配慮を含めてわかりやすく解説します。
顔にできた粉瘤の手術・治療方法|放置せず、根本からの治療を

顔にできた粉瘤は、自然に消えることはありません。
一時的に小さくなったように見えても、嚢胞(袋)が皮膚の下に残っている限り、再発・炎症のリスクは続きます。

根本的に治すには、袋ごと外科的に摘出することが唯一の方法です。
当院では、症状や粉瘤の位置・大きさ・患者さまのご希望に応じて、以下2つの手術法から最適なものをご提案しています。
- くり抜き法(くりぬき法)
- 切開法
くり抜き法(くりぬき法)

専用の器具(トレパン)で、粉瘤の開口部を小さく丸く切開し、そこから内容物と嚢胞を摘出する方法です。
特徴は「傷が小さく、術後の違和感が少ない」こと。特に顔など傷跡が気になる部位では、見た目に配慮しつつ粉瘤を除去できるため好まれる傾向にあります。
ただし、炎症が強い場合や粉瘤が大きい場合は、視野が確保できる切開法のほうが適していると判断されることもあります。
手術の流れ

STEP1
アプローチ部位にペンでマーキングを行い、腫瘍まわりに局所麻酔を施します。

STEP2
トレパンやメスを使用し、粉瘤がある皮膚に小さな穴を開けます。

STEP3
被膜にたまっている老廃物を絞り出します。

STEP4
被膜を摘出します。

STEP5
止血後、切開した傷口を縫合します。
※傷あとをきれいにするため、形成外科的縫合が行われます。
切開法

粉瘤の上の皮膚を適切な長さで切開し、中の膿・角質とともに袋を確実に取り除く治療法です。
再発防止においては最も確実性が高く、特に炎症性粉瘤(感染や発赤を伴う状態)には第一選択となります。
手術後は縫合が必要になることもありますが、縫い方・傷の方向・テープ固定などで術後の見た目にも最大限配慮しています。
術後のテープケアやUVカット指導なども含め、「顔だからこそ安心して受けられる治療」をご提供しています。
手術の流れ

STEP1
切開箇所にペンでマーキングを行い、腫瘍まわりに局所麻酔を施します。

STEP2
メスで皮膚を慎重に切開します。

STEP3
粉瘤にたまっている老廃物をきれいに取り除きます。

STEP4
被膜を剥がし、そのまま粉瘤を摘出します。

STEP5
皮膚に余計なシワが生まれないように、切開部位を調整します。

STEP6
十分に止血した後、切開した部位を縫合します。
※傷あとをきれいにするため、形成外科的縫合が行われます。
顔にできる粉瘤の手術費用|保険適用で安心です

粉瘤の手術は、健康保険が適用される外科的治療です。
顔にできた場合でも、形成外科の専門医が処置を行えば保険内で対応可能です。
3割負担の方であれば、粉瘤の大きさや処置内容によりおおよそ5,000円~18,000円程度が目安になります(※別途、初診料や薬代がかかる場合あり)。
くり抜き法と切開法で大きな金額差はありませんが、術式や再診回数などによって多少前後することがあります。
診察時に状態を確認し、術式・費用・ダウンタイムについてしっかり説明してから手術を行うのでご安心ください。
まとめ
顔にできた粉瘤は、見た目への影響が大きいため、できるだけ早く・きれいに治すことが重要です。
自己処理や放置は炎症や傷跡の原因になるため、形成外科など専門の医療機関での治療がおすすめです。
見た目や傷跡に配慮した手術が可能ですので、気になる症状があれば早めに医師へ相談しましょう。