イボとは

イボとは、皮膚にできる盛り上がりやしこりのような病変（病気による生体変化）のことです。

イボの大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、種類も多岐にわたります。発生原因としては、ウイルスや年齢による影響など、複数の要因が考えられます。

イボは見た目の問題だけでなく、日常生活にも影響を及ぼすことが少なくありません。たとえば、かゆみや炎症を引き起こしたり、衣服に引っかかることがあげられます。中には、放置すると大きくなるタイプのイボもあり、進行すると治療が困難になるケースもあります。

主なイボの種類

イボ（尋常性疣贅：じんじょうせいゆうぜい）

尋常性疣贅（じんじょうせいゆうぜい）は、イボの中でも一般的な種類です。ヒトパピローマウイルス（HPV）が皮膚の傷口から感染することで発症します。このウイルスが原因であることから、「ウイルス性疣贅」とも呼ばれています。

尋常性疣贅は年齢を問わず発症しますが、学童期のお子さんに多くみられる傾向があります。通常、痛みやかゆみは伴わないものの、適切な処置を行わないと増殖したり、他者に感染したりする可能性があります。

尋常性疣贅の形状は多様で、発症部位によって特徴が異なります。たとえば、手足の指や膝ではイボが硬く、あまり隆起せず、表面がざらついていることが多いです。足裏のような圧力がかかる場所では平たくなり、顔や首では硬く細長い糸状の突起として現れることもあります。

イボを放置したり、不適切に対処したりすると、大きくなるだけでなく、ウイルスが拡散する恐れもあります。イボを見つけた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

水イボ（伝染性軟属腫：でんせんせいなんぞくしゅ）

水イボとは、伝染性軟属腫ウイルス（でんせんせいなんぞくしゅ）と呼ばれるポックスウイルスに感染することで発症するイボです。主に6歳以下の子どもに多く見られ、胸部や腹部などの皮膚が薄い部分や、脇の下のような擦れやすい部分に発症する傾向があります。

水イボは数ミリ程度の大きさで、光沢のあるドーム状の形をしているのが特徴です。周囲がかゆくなることがあり、掻くことで内容物が皮膚に付着し、次々とイボが広がることもあります。また、サイズが大きくなると炎症を起こしやすくなります。

水イボは自然に治癒することが多いものの、完治までに1年以上かかるケースも少なくありません。その間に全身に広がったり、他の子どもに感染したりする可能性もあります。特に夏季に発症しやすく、プールでの直接接触やタオル、浮き輪などの共用品を介して感染することも珍しくありません。集団生活を送るお子さんの場合、感染の媒介となる物の共用を避け、感染した場合は早めに治療を受けることが重要です。

老人性イボ（脂漏性角化症：しろうせいかくかしょう）

老人性イボ（脂漏性角化症）とは、中年以降に多く見られる良性の皮膚腫瘍です。ただし、20代での発症も少なくありません。老人性イボは、紫外線による肌の加齢性変化が原因と考えられています。

多くの場合、日光性のシミと呼ばれる「老人性色素斑」から発生します。見た目は茶色や黒ずんだ茶色の盛り上がりで、形状は類円形の腫瘤として現れます。表面はざらざらとしたイボ状の感触で、サイズはさまざまです。発症部位は主に顔面や頭部、胸元などです。

老人性イボ自体は悪性化することはありませんが、皮膚がんとの見た目上の区別が難しく、鑑別診断が必要になる場合があります。

数カ月のうちに全身に多発し、かゆみが現れた場合、内臓悪性腫瘍を合併（レザー・トレラ徴候）している可能性があります。その際は、精密検査が必要です。

老人性イボに対する保険適用の治療法としては、手術による切除が挙げられます。

首イボ（アクロコルドン）

一般的に「イボ」と呼ばれるものには、ウイルスによる感染性のもの（尋常性疣贅・伝染性軟属腫）と、非感染性のもの（脂漏性角化症：老人性イボ）があります。特に、非感染性の脂漏性角化症が首や脇の下、鼠径部などの皮膚が薄い部分に生じると、小さく盛り上がった有茎性のイボとして現れることがあり、これを首イボ（アクロコルドン）と呼びます。首イボの原因には、皮膚の老化、紫外線、摩擦などが考えられています。

首イボは非感染性の良性腫瘍であり、健康に大きな影響はありませんが、衣類で擦れることやねじれによって痛みや炎症を引き起こすことがあります。また、加齢とともに増えることがあり、見た目が気になる方も少なくありません。襟の開いた服やタートルネックを着る際に引っかかったり、チクチクしたりして、不快感を覚える方も多いです。

首イボの治療法としては、特殊なハサミを使った切除法が一般的です。小さいイボであれば、当日に処置が可能ですが、数が多い場合は1～2週間ごとに分けて処置を行います。

イボの治療

イボの治療法はさまざまで、イボの種類や患者様の状態に応じて適切な方法が異なります。

当院では、患者様一人ひとりに合わせた治療法を提案しており、年齢や通院の頻度、イボの数や大きさなど、さまざまな要素を総合的に考慮して慎重に選択しています。イボでお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。