古林形成外科-札幌院

医療コラム

石灰化上皮腫とは?粉瘤と間違えやすいできものの特徴・原因・見分け方を解説

皮膚の下にコリコリとしたしこりができ、「粉瘤かも?」と不安になったことはありませんか?

実はそのしこり「石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)」という良性の腫瘍である可能性があります。

石灰化上皮腫は比較的まれな皮膚腫瘍でありながら、粉瘤(アテローム)や脂肪腫と間違われやすいという特徴があります。

この記事では、石灰化上皮腫の特徴・原因・症状・見分け方について、やさしく詳しく解説します。

石灰化上皮腫とはどんな疾患?

皮膚の下にできる“しこり”の一種

石灰化上皮種は、皮膚の浅い層にできる良性の皮膚腫瘍のひとつで、毛包(毛の根元の構造)由来とされています。

内部に石灰(カルシウム成分)を含むのが特徴で、コリコリとした硬さがあります。

表面には明らかな変化がなく、単なる「しこり」として放置されがちですが、皮膚科や形成外科では比較的よく遭遇する腫瘍です。

できやすい年齢や部位は?

石灰化上皮種は、若年者から中年層に多い腫瘍です。

とくに以下の部位によく見られます:

  • 顔(頬・まぶた・額)
  • 上腕・前腕
  • 背中

一見すると粉瘤と見分けがつきにくく、専門医による診断が必要です。

石灰化上皮種の原因

毛包の異常・外傷などが原因になることも

明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような背景があると考えられています:

  • 毛包の構造異常
  • 軽い外傷や摩擦
  • 過去の皮膚炎や感染の痕跡

毛包内の細胞が異常に増殖し、それが腫瘍化したものとされます。

腫瘍の中に「石灰化」が起こる理由 

石灰化上皮種では、腫瘍内の組織が変性し、カルシウムが沈着することで硬くなります。

レントゲンやエコーで白く映ることがあり、これが診断の手がかりになることもあります。

石灰化上皮種の症状と見た目の特徴

表面が白っぽい・硬い・しこりがある

石灰化上皮種は、以下のような特徴があります。

  • 触ると硬くてコリコリしている
  • 皮膚のすぐ下にあるしこりのように感じる
  • 白っぽく透けて見えることもある
  • 基本的に痛みはない

皮膚の表面に開口部(穴)がない点も、粉瘤との違いです。

粉瘤との違いは?

石灰化上皮種と粉瘤は、どちらも皮膚の下にしこりとして現れるため混同されやすいですが、次のような違いがあります:

  • 触った感触が違う
     石灰化上皮種はコリコリと硬く、しっかりとした塊のような触感があります。一方、粉瘤はもう少し柔らかく、弾力があることが多いです。
  • 表面の見た目に違いがある
     粉瘤には「開口部」と呼ばれる黒い点があることが多く、内容物が排出されることもあります。石灰化上皮種には開口部がなく、皮膚表面は比較的なめらかです。
  • においの有無
     粉瘤は感染や圧迫で内容物(角質や皮脂)が出てくると、特有のにおいがあります。石灰化上皮種は基本的に無臭です。
  • 炎症の起こり方
     粉瘤は炎症を起こしやすく、赤く腫れて痛むことがあります。石灰化上皮種は炎症を起こすことは少なく、無症状のまま経過することが多いです。
  • 診断や検査の違い
     石灰化上皮種は石灰成分が含まれるため、エコーやレントゲンで白く映ることがあります。粉瘤は石灰化を伴わないため、画像ではその違いがわかる場合もあります。

石灰化上皮種と間違えやすい疾患

粉瘤(アテローム)

最もよく混同されるのが粉瘤です。こちらは角質や皮脂が袋状にたまったもので、開口部がある点や内容物の匂いが特徴です。

脂肪腫

脂肪腫は皮下脂肪が増殖した柔らかいしこりで、石灰化上皮種ほど硬くありません。

悪性腫瘍との鑑別も重要

まれに皮膚がんや悪性軟部腫瘍が紛れていることもあるため、急に大きくなった・出血がある・形がいびつといった場合は、専門医でのチェックが必要です。

病院ではどうやって診断されるの?

視診・触診に加えて、画像検査や病理検査が必要なことも

石灰化上皮種は見た目だけでは診断が難しいため、以下のような検査が行われることがあります:

  • 視診・触診
  • エコー(超音波)検査
  • X線やCT(石灰化の有無を確認)
  • 摘出後の病理検査(確定診断)

粉瘤と間違って手術したら石灰化上皮種だったというケースも少なくありません。

Q&A|石灰化上皮種についてよくある疑問

自然に治ることはある?

いいえ、自然に消えることは基本的にありません。放置しても縮小することはなく、少しずつ大きくなる傾向があります。

放置するとどうなる?

良性とはいえ、炎症を起こしたり、痛みを伴うこともあります。また、場所によっては圧迫感や見た目の問題が出てくることもあるため、治療がすすめられます。

粉瘤との違いは自分で見分けられる?

触った感じや見た目でなんとなく違いはありますが、自己判断は難しいです。確定診断には、医師の診察や必要に応じた検査が必要です。

まとめ|「ただのしこり」と思わず、気になる場合は早めに診察を

石灰化上皮種は良性のできものである一方、粉瘤などの他の腫瘍と見分けがつきにくく、自分で判断するのは困難です。

しこりがある・硬い・気になる・最近大きくなってきた……そんなときは、「ただの粉瘤」と思い込まず、皮膚腫瘍の専門である形成外科や皮膚科での診察を受けましょう。

早期に正確な診断を受けることで、安心して適切な治療につなげることができます。

この記事を書いた人

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北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック 札幌院 院長 荻野 航太

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

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