脂肪腫は良性?悪性との違いと見分け方を形成外科医が解説

「このしこり、本当に脂肪腫?悪性じゃないの?」
しこりを見つけて不安になり、ネットで「脂肪腫」「悪性」「違い」と検索する方は多くいらっしゃいます。
実際、脂肪腫のほとんどは良性腫瘍ですが、ごく一部に悪性(脂肪肉腫)との鑑別が必要なケースもあるため、正しい知識と判断が重要です。
この記事では、脂肪腫と脂肪肉腫の違いや見分け方、治療が必要なケースについて、形成外科医の視点から丁寧に解説します。
脂肪腫とは?|良性腫瘍の代表格

脂肪腫(しぼうしゅ)は良性の腫瘍で、皮膚の下に柔らかいしこりとして触れ、痛みはほとんどなく、ゆっくりと大きくなるのが特徴です。
直径数cmほどが一般的ですが、放置していると10cmを超えるような大きさになることもあります。
原因は解明されていませんが、額や肩などぶつけやすい場所にできる事も多く、外傷をきっかけに発症すると言われてます。特に神輿だこと言われる肩の膨らみは関節液が溜まるタイプに加え、脂肪腫が増大したタイプもあり、強い衝撃は脂肪腫の要因としてありそうです。
また遺伝的に四肢、体幹に多発する場合もあり、肥満、糖尿病、飲酒など生活習慣なども関与しているという説もあります。
脂肪肉腫との違いは?|悪性腫瘍との見分け方

「脂肪腫」と似た名前の脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)は、悪性腫瘍です。肉腫は発症率が低く非常に稀な悪性腫瘍で、脂肪肉腫は肉腫全体の10%を占めています。
見た目では判別が難しいため、以下の違いを参考にしてください。
脂肪腫と脂肪肉腫の違い(目安)
- 成長スピード
脂肪腫:数年かけてゆっくり大きくなる
脂肪肉腫:数週間~数ヶ月で急に大きくなることがある - 硬さ
脂肪腫:やわらかく動かせることが多い
脂肪肉腫:硬く、皮膚や筋肉と癒着していることも - 痛みや赤み
脂肪腫:基本的に無痛
脂肪肉腫:まれに痛みや炎症を伴うことも - 部位
脂肪腫:背中、首、腕、太ももなど
脂肪肉腫:太ももなどの四肢、後腹膜など深部にできやすい
見た目だけでは判断できない|診断には検査が必要
見た目や触診だけで脂肪腫か脂肪肉腫かを判断するのは非常に難しいため、以下のような検査が行われることがあります。
- エコー(超音波)検査
しこりの大きさや深さ、構造を確認します。 - MRI検査
脂肪腫か脂肪肉腫かの鑑別に有効です。保険適用されることもあります。 - 細胞診・組織検査(生検)
必要に応じて、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で診断します。
脂肪腫の治療は「切除手術」が基本

脂肪腫は基本的に良性のため必ず治療が必要というわけではありません。
しかし、以下のような場合は手術による切除が推奨されます。
- サイズが大きくなってきた
- 痛みや違和感がある
- 見た目が気になる
- 悪性が疑われる場合
形成外科では、目立ちにくい部位を選んでの切開や、縫合ラインへの配慮も行われ、美容面にも配慮した治療が可能です。
Q&A|よくある不安に医師が回答

脂肪腫は放っておいても大丈夫?
基本的に良性であれば経過観察でも問題ありませんが、急に大きくなる・硬くなる・痛むといった変化があれば早めの受診をおすすめします。
脂肪腫が再発することはありますか?
完全に切除できれば再発の可能性は低いですが、取り残しや深部に入り込んでいる場合は再発することもあります。
脂肪腫か脂肪肉腫か、自分で見分けられますか?
見た目や触った感触だけでは判断できません。不安がある場合は必ず医師に相談し、画像検査や診察を受けることが大切です。
まとめ|脂肪腫か悪性か、気になったら形成外科へ
脂肪腫はほとんどが良性で、命に関わることはほとんどありません。
しかし、脂肪肉腫など悪性腫瘍との見分けが必要な場合もあるため、「自己判断せず専門医に相談する」ことが非常に大切です。
形成外科では、診断から治療、術後のフォローアップまで一貫した対応が可能です。
「最近しこりが大きくなってきた」「ちょっと心配…」そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。