古林形成外科-札幌院

医療コラム

頭にできた“できもの”の正体とは?考えられる病気と受診すべき診療科を形成外科医が解説

「頭にしこりがある」「髪をとかすと痛い」「触ると硬いできものがある」——そんな症状は、単なるニキビや吹き出物と思いがちですが、粉瘤や脂肪腫などの皮膚腫瘍である場合もあります。

頭皮は皮脂腺が多くトラブルが起きやすい部位であり、放置すると炎症や感染を起こすことも。

この記事では、

  • 頭皮にできる代表的な「できもの」の種類と特徴
  • 頭皮にできものを防ぐための生活習慣
  • 症状別に受診すべき診療科とその処置内容

を詳しく解説します。

「このしこり、放っておいて大丈夫?」「皮膚科と形成外科、どっちに行けばいいの?」と悩んでいる方は、この記事を読めば症状の見極め方最適な受診先が分かります。

頭にできるできものに疑われる病気

粉瘤(アテローム)

頭皮にできるしこりの中で最も多いのが粉瘤です。皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に皮脂や角質がたまって膨らみます。初期は痛みがなく、触るとコリコリとした感触がありますが、何かのきっかけで感染を起こすと赤く腫れ上がり、膿が溜まって強い痛みを伴うこともあります。

脂肪腫

脂肪腫は、皮下の脂肪細胞が増殖してできる柔らかい腫瘍です。ゆっくりと大きくなり、5cm以上になることもあります。基本的に痛みはありませんが、帽子やヘルメットが当たる場所にできると違和感や圧痛を感じることがあります。

毛嚢炎(もうのうえん)

毛穴に細菌が入り込み、炎症を起こした状態です。赤く腫れた小さなできもので、ニキビに似ています。強く触ると痛みを感じますが、抗生剤の塗り薬や内服で治ることが多いです。粉瘤とは異なり、一度炎症を起こすとその後治癒することが多いです。

脂漏性皮膚炎

皮脂の分泌が多い頭皮に発生しやすく、フケやかゆみ、赤みを伴う炎症性疾患です。皮脂の酸化やマラセチア菌という常在菌の繁殖が原因とされます。放置すると慢性化することもあります。

頭皮湿疹

シャンプー剤やヘアカラー、整髪料の刺激などによって起こるアレルギー性や接触性の炎症です。かゆみが強く、掻き壊すと小さなかさぶたや膿を伴うことがあります。

ニキビ

頭皮にもニキビはできます。ホルモンバランスの乱れや不衛生な状態が原因で、毛穴が詰まり炎症を起こします。多発する場合は、皮膚科での治療が効果的です。

基底細胞癌(皮膚がん)

まれに、頭皮のしこりが皮膚がん(基底細胞癌)の場合もあります。黒っぽい・潰瘍状・出血しやすい・徐々に大きくなるといった特徴があり、長期間出血や潰瘍が治らない場合は早めに医師の診断を受けることが重要です。

頭皮にできものを防ぐための対策方法

頭皮を清潔に保つ

毎日のシャンプーで皮脂や汚れをしっかり落とすことが大切です。整髪料やスタイリング剤は毛穴を詰まらせる原因になるため、使用後は丁寧に洗い流しましょう。シャンプー時は爪を立てず、指の腹でやさしくマッサージするように洗うのがポイントです。

食・生活習慣の見直し

脂質の多い食事や睡眠不足、ストレスは皮脂分泌を増やし、できものを悪化させます。ビタミンB群・亜鉛を含む食材を意識的に取り、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

外的刺激を避ける(帽子・整髪料・紫外線)

長時間帽子をかぶると蒸れや摩擦が起こり、炎症の原因になります。整髪料の使いすぎや強い紫外線も頭皮への刺激になるため、通気性を意識した帽子や日傘で予防を。

頭皮にできものができたら何科に行くべきか。各科の主な処置

形成外科

粉瘤や脂肪腫のように、袋や腫瘍そのものを根治的に取り除く治療が必要な場合は、形成外科が最適です。局所麻酔で日帰り手術が可能で、袋を取り残さないように除去するため再発を防げます。さらに、頭皮の毛流れや傷跡の位置に配慮した縫合で、見た目も自然に治療できます。

皮膚科

毛嚢炎や脂漏性皮膚炎、ニキビなど炎症性の疾患は皮膚科で治療可能です。抗生剤の内服や外用、抗真菌薬、ステロイド外用薬などで改善が見込めます。ただし、粉瘤や脂肪腫が再発を繰り返す場合は、形成外科への紹介が適切です。

整形外科

打撲後にしこりができた場合や、深部に硬い腫瘤がある場合は整形外科で骨や筋膜の異常を確認します。ただし、皮膚や皮下に限定されるできものは形成外科または皮膚科が専門です。

まとめ

  • 頭皮にできるできものは、粉瘤・脂肪腫・毛嚢炎・湿疹・皮膚がんなど多岐にわたる
  • 放置すると感染や痛みを引き起こすことがあるため、自己判断は禁物
  • 清潔な頭皮環境と生活習慣の見直しが予防の第一歩
  • 再発や痛みを伴うしこりは形成外科での根治治療が最適
  • 症状が軽い場合でも、早期受診が重症化を防ぐ近道

この記事を書いた人

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北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック 札幌院 院長 荻野 航太

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

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