皮膚の“ぶよぶよしたできもの”は粉瘤や脂肪腫かも?原因・治療法・受診すべき診療科を解説
「皮膚の下にぶよぶよしたしこりがある」「押すと柔らかいけど痛くない」「潰したら中から白いものが出てきた」――そんな経験はありませんか?
一見問題なさそうに見える皮膚のできものでも、粉瘤や脂肪腫、ガングリオンなどの良性腫瘍である可能性があります。これらは自然には治らず、放置すると炎症や感染を起こすこともあります。
この記事では、
- 皮膚の“ぶよぶよしたできもの”に考えられる病気
- どの診療科を受診すべきか
- 当院で行っている治療方法
- よくある質問とその回答
を、形成外科の視点からわかりやすく解説します。
「潰してしまった」「皮膚科でも治らなかった」「どこに行けばいいか分からない」という方は、ぜひ参考にしてください。
皮膚の“ぶよぶよしたできもの”は粉瘤や脂肪腫かも?原因・治療法・受診すべき診療科を解説
粉瘤(アテローム)
皮膚の下に袋ができ、その中に皮脂や角質が溜まって膨らむ良性腫瘍です。触るとしこりの中心に黒い点(開口部)が見えることがあり、内部が柔らかく「ぶよぶよ」と感じるのが特徴です。
初期は痛みがなくても、炎症を起こすと赤く腫れ、押すと強い痛みを伴います。自然治癒はなく、根治には袋ごと取り除く手術(くり抜き法または切除法)が必要です。
脂肪腫
脂肪細胞が増えてできる柔らかい腫瘍で、ゆっくりと大きくなります。皮膚の下でスルスルと動かせるのが特徴で、痛みはほとんどありません。
しかし、サイズが大きくなると周囲を圧迫し、違和感や鈍痛を生じることがあります。自然に消えることはなく、外科的切除が必要です。
ガングリオン
手首や足首などの関節付近にできやすい「ぶよぶよした腫瘤」で、中にはゼリー状の液体が入っています。圧迫や摩擦で変形したり、神経に触れると痛みを感じることも。多くは良性ですが、再発しやすいのが特徴です。
イボ(尋常性疣贅)
ウイルス感染によって皮膚が盛り上がる良性腫瘍です。見た目は硬いことが多いものの、部位や進行によって柔らかく感じることもあります。液体窒素や電気焼灼による除去が一般的です。
おでき・せつ(毛包炎・膿瘍)
毛穴に細菌が侵入して炎症を起こすもので、赤く腫れて押すと痛みを感じます。炎症が進むと膿がたまり、一時的にぶよぶよとした感触になります。抗生剤で治療できますが、繰り返す場合は他の腫瘍性疾患の可能性もあります。
皮膚にできるぶよぶよのできものができたら何科に行くべきか
形成外科
粉瘤や脂肪腫など、袋や腫瘍を根本から取り除く必要がある場合は形成外科が最適です。局所麻酔で日帰り手術が可能で、再発を防ぐために袋ごと丁寧に除去します。
さらに、形成外科では傷跡の目立たない仕上がりを重視するため、顔や首、デリケートゾーンなど見える部分の治療にも向いています。
皮膚科
皮膚炎や毛包炎など、炎症性の病変であれば皮膚科での薬物治療が中心になります。軽度の炎症なら抗生剤や塗り薬で改善しますが、しこりが残る・再発を繰り返す場合は形成外科への紹介が望ましいです。
婦人科・外科を選ぶケース
デリケートゾーンや肛門付近のぶよぶよしたできものの場合、まず婦人科や肛門科を受診しても問題ありません。ただし、診断後に粉瘤や脂肪腫と判明した場合は、最終的に形成外科で手術治療を受ける流れになるケースが多いです。
粉瘤・脂肪腫は当院にて治療可能。各腫瘍の治療方法
粉瘤の治療(くり抜き法・切除法)
- くり抜き法:パンチという器具で皮膚に小さな穴を開け、袋ごと取り出す方法。傷跡が小さく、頭や顔など目立つ部位に適しています。
- 切除法:腫瘍の大きさや炎症の程度によっては、メスで切開して袋を取り除く方法を選択。再発リスクを最も低く抑えられます。
脂肪腫の治療(切開法による摘出)
局所麻酔で小切開を加え、脂肪腫を取り出します。しっかりと被膜を残さず除去することで再発を防ぎます。通常は10〜30分で終了し、通院で抜糸を行います。
どちらの手術も保険適用で行え、自己負担3割で5,000〜10,000円前後が目安です。
皮膚にできたぶよぶよとしたできものに関するQ&A
ぶよぶよとしたできものができて皮膚科で抗生剤と塗り薬をもらいました。粉瘤であった場合この処置で完治するのでしょうか?形成外科に行った方がいいですか?
抗生剤で炎症や痛みを一時的に抑えることはできますが、粉瘤の袋自体は薬では消えません。根治には手術による摘出が必要です。皮膚科で改善しない場合は、形成外科で袋ごと除去してもらうことをおすすめします。
ぶよぶよとしたできものを病院に行く前に潰してしまいました。市販薬などで応急処置をしたほうがいいですか?
潰すと中の膿が広がって炎症や感染を悪化させる恐れがあります。自己処置は避け、早めに受診してください。応急的には、清潔なガーゼで覆い、軟膏や市販薬は使わずそのままの状態で病院へ行くのが安全です。
おしりに近いデリケートゾーン周辺にぶよぶよとしたできものができました。婦人科でも形成外科と同じ処置をしてもらえますか?
婦人科では一時的な診察や薬の処方が可能ですが、根治治療(手術)まで行っているところは限られています。デリケートゾーンの粉瘤や脂肪腫は形成外科での日帰り手術が一般的で安全です。
まとめ
- 「皮膚の下がぶよぶよしている」「柔らかく動くしこり」は、粉瘤や脂肪腫などの良性腫瘍であることが多い
- 自然に治ることはなく、放置すると炎症・感染・再発のリスクが高まる
- 炎症がある場合は皮膚科での薬物治療、根治を目指すなら形成外科での手術が最適
- 自己判断で潰したり市販薬を塗るのは避け、早期受診が再発防止への第一歩

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