顔に粉瘤ができる原因と部位による違い

この記事では、形成外科専門医の視点から、顔に粉瘤ができる主な原因と、額・頬・まぶた・鼻など部位ごとの特徴や違いについて詳しく解説します。
顔に粉瘤ができる原因と部位による違い
顔は、皮脂腺が多く、摩擦や刺激、毛穴詰まりが起こりやすい部位が揃っているので粉瘤が出来やすいです。
- おでこ
- 鼻
- 頬
- 耳
部位ごとに特徴があるため、それぞれ解説していきます。
おでこ

皮脂の分泌が多く、前髪が触れることで蒸れや刺激が生じやすい部位です。
粉瘤ができても、初期は「ニキビかな」と様子を見る方が多く、気づいたときには数cmになっているケースも少なくありません。
額は皮膚が薄く、すぐ下に固い骨があるためふくらみとして認識しやすく「こぶができてきた」と表現される事も少なくありません。粉瘤も直下の前頭筋筋膜との境界が明瞭で比較的腫瘍が取りやすい部位です。
額は前頭筋の収縮で横方向の皺が多いため、傷もしわに沿って切ることでほぼ目立たない結果になる事が多いです。
鼻

小鼻や鼻筋にかけては皮脂腺が密集しており、毛穴が目立ちやすく、角栓が詰まりやすいエリアでもあります。
鼻の皮膚は硬く伸展しにくいためそこまで大きな粉瘤にはなりにくい部位ですが、小さくても皮膚の膨らみが目立つため、見た目のストレスから早期受診につながることが多いのが鼻の特徴です。
鼻の様に皮脂腺の多い部位は比較的傷が目立たず治る事が多いです。
頬

マスクとの接触、スキンケア用品の刺激、メイクの洗い残しなど、外的刺激の多い部位です。
頬もTゾーンに続いて毛穴が多い部位で、皮膚が比較的薄く伸展しやすいため、深部にあると無症候性粉瘤の場合気付かない事もあります。時間と共に大きな粉瘤になる事があり、炎症を起こすと急激に赤く腫れて痛みが強くなる傾向もあります。
耳

耳周囲は脂腺が多く、立体的な構造から老廃物が溜まりやすい部位でもあります。
そのため耳前部や耳裏から首にかけての範囲は粉瘤ができやすい傾向があります。
耳周囲は皮膚が薄く、大きくなると皮膚が伸展されてしまうため、余った皮膚を切除できる切開法が適しています。
顔にできた粉瘤に関するよくあるご質問(Q&A)

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顔にできた粉瘤の手術・治療方法を教えてください。
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当院では、切開法・くり抜き法を用いて粉瘤を根治いたします。形成外科専門医の高度な切開・縫合技術で傷跡も綺麗に仕上げています。
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顔の粉瘤手術の費用はいくらくらいで受けれますか?
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顔の粉瘤手術費用は保険適用です。
自己負担3割の方であれば、おおよそ5,000~18,000円程度(粉瘤の大きさや処置内容により変動)となります。
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小さくて痛くない粉瘤、取らなくても大丈夫ですか?
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初期段階では痛みもなく目立たないことが多いため、放置されがちですが、袋が残っている限り成長・炎症・再発の可能性は消えません。
顔は炎症による腫れや破裂のリスクが高いため、小さいうちにの処置をおすすめします。
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顔に複数できています。珍しいことですか?
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粉瘤は体質的にできやすい方もおり、顔や背中に複数見られるケースも珍しくありません。
必要に応じて段階的に手術することも可能ですので、まずは一度ご相談ください。
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顔の粉瘤はどれくらい大きくなりますか?
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自覚がないまま進行し、1~2cmを超えてから気づかれる方もいます。
大きくなるほど手術時の切開も大きくなり、ダウンタイムが延びる可能性があるため、早期の対応がベストです。
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抗生剤で小さくなったことがありますが、それで治ったのでしょうか?
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抗生物質は炎症や腫れを一時的に抑えるだけで、袋(嚢腫)は残っています。
根治には袋ごと取り除く手術が必要です。
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顔の粉瘤はどうすれば予防できますか?
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完全な予防は難しいですが、皮脂詰まりを防ぐスキンケアや摩擦の少ない生活習慣、紫外線対策などが役立ちます。
また、前髪の蒸れやマスクの刺激も誘因になり得ます。
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手術後の化粧はいつからできますか?
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術後の状態によりますが、通常は抜糸後(約5~7日後)から可能です。
当院では術後のメイク再開時期やUVケアについても丁寧にお伝えしています。
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手術の傷を隠したいのですが、テープでカバーしても大丈夫?
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はい、むしろ医療用テープを数週間貼っておくことで、傷跡がよりきれいに治りやすくなります。
メイク用のカバーテープや市販の肌色保護シールなどもご案内しています。
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顔の粉瘤はがんになることはありますか?
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基本的に良性腫瘍なので、悪性化することは極めてまれです。
ただし、炎症を繰り返したり破裂を放置していると、組織が硬くなったり傷跡が残る可能性はあります。
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子どもにも粉瘤ができますか?小児皮膚科に行くべき?
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はい、小児にも粉瘤はできます。顔にできることもありますが、基本的には形成外科または皮膚科で対応可能です。
当院では、小学生以上であれば日帰り手術にも対応しています。
まとめ|顔の粉瘤は、早めの診断と専門的な対応が大切です
顔にできた粉瘤は、目立つだけでなく、炎症によって痛みや赤みが強くなることもあり、見た目・生活の質の両面に影響を及ぼします。
「ニキビかと思っていたら治らない」「また同じ場所にできた」そんなときは、自己判断せず、形成外科などの専門医に相談することが重要です。
当院では、顔の粉瘤に特化したくり抜き法・切開法の両方に対応し、術後の見た目にも配慮した丁寧な処置とケアを行っています。
診察から手術、術後フォローまで一貫して行っておりますので、不安がある方も安心してご相談ください。