古林形成外科-札幌院

医療コラム

押すと痛い耳たぶのしこりが考えられる病気を形成外科専門医が解説

本記事では、形成外科専門医の視点から、耳たぶにできるしこりの主な原因や考えられる病気、受診の目安についてわかりやすく解説します。

早めに適切な対処をするためにも、正しい知識を身につけましょう。

押すと痛い耳たぶのしこりが考えられる病気

  • 粉瘤
  • 耳下腺腫瘍
  • ニキビ
  • リンパ節炎
  • 嚢胞

順に解説していきます。

粉瘤

粉瘤は皮膚のすぐ下に存在し、触れると表面が滑らかで可動性があり、押すと臭い内容物が出ることがあるのが特徴です。

粉瘤はゆっくりと時間をかけて大きくなり、大きくなってきて気づく場合が多いです。

炎症を起こすと赤く腫れ上がり、痛みや熱感を伴う様になり、患部に触れるだけで痛みを感じることもあります。

当院の粉瘤治療>>

耳下腺腫瘍

耳の下からあご付近にできるしこりで、耳下腺という唾液腺由来の腫瘍です。良性腫瘍が多く、皮下脂肪より深い位置に存在する耳下腺に腫瘍ができると弾性のあるしこりとして気付く事が多く、初期には症状がない事がほとんどです。

ニキビ

ニキビは、毛穴に皮脂や角質が詰まり、そこにアクネ菌が繁殖することで炎症を起こす皮膚疾患です。赤みや腫れ、軽い痛みを伴うことが多いですが、通常は数日から1~2週間程度で自然に改善します。

一方で粉瘤は、皮膚の奥に袋状の構造ができ、その中に角質や皮脂が長期間たまり続ける病変であり、放置しても自然には治りません。むしろ、徐々に大きくなり、炎症を起こすと膿や痛みを伴うこともあります。

また、ニキビには黒い点(開口部)から悪臭を伴う内容物が出ることはほとんどなく、触れると柔らかく、皮膚の浅い層にとどまるのが一般的です。

リンパ節炎

耳の下や後ろにできるしこりの中には、扁桃炎や中耳炎、虫歯などの感染症をきっかけに、耳周辺のリンパ節が腫れて起こるリンパ節炎という炎症性疾患もあります。

皮膚の奥にやや硬いしこりができ、押すと強い痛みを伴い、赤みや熱感、発熱などの全身症状が出ることもあります。粉瘤と違い、黒い点や内容物の排出はなく、皮膚との可動性も乏しいのが特徴です。

治療は抗生物質による内服が中心で、膿がたまった場合は切開排膿が必要になることもあります。

嚢胞

耳のまわりや皮膚の下にできたしこりが、粉瘤ではなく嚢胞(のうほう)であるケースもあります。嚢胞とは、体内にできる袋状の構造物で、内部には液体、ゼリー状物質、粘液などがたまっている良性の病変です。耳介偽嚢腫は耳の上半分にできる嚢胞で、内部にゼリー状の内容物を持ち、同部の耳介軟骨が二層に裂けている事が多く外傷や何らかの刺激が要因となっていると考えられています。

粉瘤(表皮嚢腫)との主な違いは、内容物が液体に近いこと、皮膚表面に黒い点(開口部)がないこと、悪臭を伴う膿の排出が見られないことです。しこりとして触れても比較的柔らかく、炎症を起こしていなければ痛みもないことが多いです。

嚢胞も自然に治ることは少なく、大きくなる場合や圧迫感・違和感がある場合は、超音波検査やMRIなどによる鑑別診断が必要になることもあります。粉瘤との鑑別がつきにくいケースでは、形成外科での診察をおすすめします。

押すと痛い耳たぶにしこりができた場合の受診先

耳たぶにしこりができた場合、以下の診療科を受診することをおすすめします。

耳鼻咽喉科

耳や鼻、喉の疾患を専門とする診療科で、リンパ節炎や乳様突起炎などの診断・治療を行います。

形成外科

皮膚や皮下組織の手術を専門とする診療科で、粉瘤や脂肪腫の手術を行います。

皮膚科

皮膚の疾患を専門とする診療科で、粉瘤や脂肪腫などの診断・治療を行います。

症状が軽度であっても、自己判断せず、専門医の診察を受けることが重要です。特に、しこりが急速に大きくなる、痛みが強い、発熱を伴うなどの症状がある場合は、早急に受診してください。

まとめ

耳たぶにできる「押すと痛いしこり」は、粉瘤(アテローム)や感染、稀に腫瘍などが原因となっていることがあります。
痛みや腫れが続く場合、自己判断で放置せず、早めに形成外科や皮膚科を受診することが大切です。

正しい診断と適切な治療を受けることで、悪化を防ぎ、早期の回復につながります。気になる症状がある方は、ぜひ医療機関で相談してみてください。

この記事を書いた人

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北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック 札幌院 院長 荻野 航太

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

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