古林形成外科-札幌院

医療コラム

粉瘤は形成外科と皮膚科どっちで受けるべき?後悔しないための選び方

実は、粉瘤の受診先の選択によって、

  • 治療の進め方
  • 仕上がり
  • 傷跡の残り方

に違いが出ることがあります。

特に顔や首など目立つ部位にできた粉瘤は、どこで治療を受けるかがとても重要です。

この記事では、皮膚科と形成外科の違いや特徴、受診先の選び方について、後悔しないためのポイントを形成外科専門医の視点でわかりやすく解説します。

粉瘤治療における形成外科と皮膚科の違いとは?

粉瘤の治療を受ける際に、「形成外科と皮膚科、どちらを受診すべきか」で悩む方は少なくありません。実はこの2つの診療科には、役割や得意分野に明確な違いがあります。

  • 形成外科
  • 皮膚科
  • 美容皮膚科

形成外科

形成外科は、皮膚や皮下組織の腫瘍・できものに対する外科的処置を専門としている診療科です。粉瘤や脂肪腫などの切除を日常的に行っており、「袋ごときれいに取り除く」ことを前提に手術を行うため、再発リスクを最小限に抑えることができます。

また、形成外科では手術後の傷跡の仕上がりにもこだわっており、目立ちにくく治すための縫合技術やデザイン力に優れているのが特徴です。顔や首など、目立つ部位の粉瘤治療にも適しています。

皮膚科

皮膚科は、湿疹・かぶれ・にきび・アトピーなどの皮膚トラブル全般に対応する内科的な診療科です。粉瘤に関しては、炎症を起こしている場合の抗生剤処方や経過観察などの保存的治療が中心となります。

手術を行っていない皮膚科も多く、「診てもらえたけど治療はできなかった」というケースもあるため、手術希望の場合は事前の確認が必要です。

美容皮膚科

美容皮膚科は、シミ・シワ・たるみの治療やスキンケア、レーザー治療など、美容目的の施術を専門とする診療科です。粉瘤のような腫瘍性疾患への対応は基本的に行っておらず、手術や保険診療には対応していないケースがほとんどです。仮に対応していたとしても高額な治療費がかかります。

この場合、粉瘤治療を形成外科・皮膚科どっちで受けるべき?

  • 軽度の粉瘤で炎症がない場合
  • 炎症が強い場合
  • 悪性腫瘍の疑いがある場合

軽度の粉瘤で炎症がない場合

炎症がなく比較的小さな粉瘤であれば、手術で取り除く事で根治が可能です。この場合は経験のある形成外科での除去がおすすめです。再発しにくく、傷跡も目立ちにくい方法で取り除くことができ、症状が軽いうちに対処すれば、ダウンタイムも短く、治療後の生活への影響も最小限に抑えられるのがメリットです。

炎症が強い場合

粉瘤が赤く腫れて痛みを伴う場合は、感染による炎症が進行している可能性があります。こうした状態ではすぐに手術を行う事ができないため、まず皮膚科で抗生物質を使って炎症を抑える処置を受けるのが一般的です。

炎症が落ち着いてから、形成外科で袋ごと丁寧に取り除くことで再発や傷跡のリスクを最小限に抑えることができます。また、破裂して膿が出ている場合なども、一時的な処置が必要になり手術のできる形成外科がおすすめです。

当院では、

炎症性粉瘤の場合でも当日手術を行っています。

ぜひご相談ください。

当院では出来るだけ痛みがないように炎症の周囲に局所麻酔を十分に打つことにより疼痛緩和を図っています。

しかし、炎症が強い場合は、組織破壊の結果、炎症部位で産生されるブラジキニン、ATP、プロトンの発痛物質やプロスタグランジンの感作物質により疼痛が引き起こされます。そのため、手術の際の局所麻酔での痛みが強くなります。またキシロカインも組織の炎症が強いときは、その部位のpHはアシドーシスに傾いているため、塩基型の麻酔薬の割合が減少し、局所麻酔薬の効果は減弱します

そのため、炎症している粉瘤がある方は出来るだけ早い手術を推奨します。

悪性腫瘍の疑いがある場合

ごく稀にではありますが、粉瘤のように見える腫瘍の中には皮膚がんや他の悪性腫瘍と鑑別が必要なケースもあります。見た目だけでは判断が難しい場合、まずは皮膚表面から診断する能力の高い皮膚科を受診することをおすすめします。

皮膚科ではダーモスコピー検査という強い光を照射しながら皮膚を10-30倍に拡大して診断する検査があるため、まず悪性かどうかを診断する事が有用です。

悪性かどうか判断できない場合、病理検査(組織検査)によって手術で腫瘍を取ってから顕微鏡で確認する必要があります。こうした検査を安全かつ確実に行うには、検体採取から病理提出までの体制が整っている形成外科での受診が安心です。手術で粉瘤を切除する際に同時に検体を提出できるため、再手術の必要もなくスムーズに診断と治療を進められます。

まとめ

粉瘤の治療は、症状やできた場所、仕上がりへのこだわりによって、皮膚科か形成外科を選ぶことが大切です。

皮膚科では主に初期対応や投薬が中心で、形成外科では見た目や傷跡に配慮した手術が可能です。

特に顔や首など目立つ部位では、形成外科の受診を検討するとよいでしょう。後悔しないためにも、自分の症状や希望に合った専門医を選び、適切な治療を受けることが重要です。

この記事を書いた人

著者画像
北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック 札幌院 院長 荻野 航太

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

北海道皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科 札幌院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

医療コラム一覧へ戻る
WEB予約
電話アイコン 電話予約
カレンダーアイコン WEB予約
トップぺ戻る